性病検査・性病治療

性病検査・性病治療

正式には性行為感染症(Sexually Transmitted Diseases:STD)と呼ばれ、性行為を介して人から人へ感染を起こす様々な病気の総称です。

以前は性風俗店などでの不衛生な性行為による感染が多かったのですが、最近の傾向といたしましては、不特定のセックスパートナーやセックスの多様化、また海外赴任等により、一般化傾向にあります。

逆に、病状は風邪のように喉が痛い(咽頭炎)などの症状でSTDが発見されるケースも見られるようになり、多様化しております。

以下に、代表的な病気をご紹介します。かかったかな?と疑いのある方や、パートナーがSTDにかかっている方は早めに専門医の診察を受けることが、早期治癒に導く大事な一歩です。

淋病

潜伏期間(感染してから発症するまで)は2~7日です。強い排尿時痛、灼熱感(映画グリーンマイルでトム・ハンクスが症状を見事に演じています。)とともに黄色の分泌物が多量に尿道から出て下着を汚します。これを無理をして我慢していると炎症が慢性化して尿道狭窄といって、あたかも前立腺肥大症のごとく尿が出にくくなってしまったりします。また、菌が尿道の後部に侵入していき、前立腺炎・精嚢炎・精巣上体炎・腎盂腎炎などを引き起こすと痛いわ、熱は出るわでご本人は大変です。最近は耐性菌といって抗生物質が効きにくくなった菌が増えています。また混合感染といってクラミジアなどに同時感染している場合もあります。治療は抗生剤の内服や、注射・点滴を行うこともあります。

クラミジア感染症(非淋菌性尿道炎)

潜伏期間は2~3週間です。軽い排尿時痛や違和感、尿道口からの透明分泌物などが特徴です。比較的症状が軽く受診が遅れるケースが多いようです。また、女性は特に症状が出にくく通常よりおりものが多い程度のことがあります。ですから放置してしまい不妊の原因になったり、腹膜炎を起こし始めて発見されるという不幸なケースもあります。男性は尿検査または血液検査で診断します。女性は血液検査または膣分泌物にて診断します。治療は抗生物質の内服です。

梅毒

戦前・戦後まもなくは性病の代表格でした。また不治の病として恐れられてきました。現在は減少傾向にあり、また適切な化学療法にて治癒可能です。梅毒トレポネーマという細菌感染で梅毒患者との性行為によるものがほとんどです。梅毒は傷や粘膜から体内に進入し局所で増殖し、全身に広がっていきます。2~4週の潜伏期間をおいて初期硬結というしこりが、亀頭や口唇などに生じます。女性では大小陰唇、ホモセクシャルの場合肛門周囲に出来ることがあります。3ヶ月の間に、びらんや潰瘍に変わって、そけいのリンパ節も腫れてきます。3ヶ月経つと、バラ疹といわれる赤い班点が体のあちこちに出来てきます。 局所から病原体を検出することもありますが、一般に血液検査が行われ、感染後4~6週経つと、血清梅毒反応が陽性に出ます。治療はやはり抗生物質(ペニシリン)の注射や内服です。

性器ヘルペス

単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus:HSV)による接触感染で、唇や陰部の皮膚や粘膜に水疱・疱疹が出来る疾患です。医学的には、口唇ヘルペスに代表されるⅠ型と性器ヘルペスに代表されるⅡ型に分けられますが、オーラル・セックスの日常化により、口腔からⅡ型が検出されることも増加傾向にあります。また日常診察でよく遭遇する疾患です。 診断は既往歴・視診・血液検査(ウイルス抗体価)などで調べます。治療は抗生物質ではなく、抗ウイルス薬の外用や内服ですが、治ったように見えても過労・ストレスなどにより再燃を繰り返すことが多いため、ごく最近、抗ウイルス薬の予防的な使用が保険診療にて認められるようになりました。治療中は性行為は出来ません。

尖圭コンジローマ

これもヒト乳頭腫ウイルス(HPV)による性行為による接触感染です。ペニスや亀頭部分、外尿道口、包皮内側、肛門、女性器などにできる表面がまるでカリフラワーの様ないぼ状のできものです。放置すると多発したり、徐々にその大きさを増していきます。陰茎の不衛生さも発生要因の一つとされ、包茎患者さんにやや多くみられます。よくフォアダイス状態という亀頭のカリの部分にできる白いブツブツ (実際は独立脂腺の増殖)を心配し受診される方も多くみられます。診断は専門医の視診になります。

エイズ

治療は専門病院の血液内科で行うのですが、検査(血液検査)は泌尿器科で行うことも多いようです。80年代はまだまだ未知の疾患でしたが、最近は国立病院などでカクテル療法が行われています。日本においては、世界的に見れば、まだまだ感染者は少ないですが、増加率は高く将来が危惧されています。総合病院では手術を受ける患者さんにほぼ全例、HIV検査を受けて頂くことが、常識になっておりす。(2次感染を防ぐため)潜伏期間が数年から10年を超えるものまであり、感染に気づいていない若者を中心とした人達が統計には現れない患者として潜在していると言われています。大切な家族を守る意味でも、身に覚えのある方は、検査をお勧めします。

その他

カンジタによる包皮炎や毛ジラミ症もSTDといえるでしょう。毛じらみは陰毛に虫卵を見つけます。寄生後、約1ヶ月で症状(掻痒感)が出ます。駆除・薬剤治療で完治します。

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